EDGAR Watcher

ROLE

リードデベロッパー兼アーキテクト

YEAR

2023

TECHNOLOGY

Google Apps Script, Gemini API

SEC開示情報を監視するシステム

開発秘話:EDGAR Watcher誕生から今までの進化

通知から「チームの意思決定」へ

投資家やアナリストにとって、SEC(米国証券取引委員会)の電子開示システム「EDGAR」のチェックは日常茶飯事ですが、同時に膨大なデータという「ノイズとの戦い」でもあります。

私が開発した「EDGAR Watcher」は、単なる監視ツールから、AIを搭載したインテリジェント・アシスタントへと数年かけて劇的に進化しました。

最新の Gemini 3 Flash を搭載し、個人の孤独な調査をチームの力に変える現在の姿をご紹介します。

1. 黎明期:受動的な「Push通知」の実現

最初は非常にシンプルなものでした。「新しい開示が出たら知らせる」という、Pull(自ら探しに行く)からPush(通知が来る)への転換です。これだけでも情報収集のスピードは劇的に上がりましたが、まだ「分厚い英語の書類を自分で読み解く」という高いハードルが残っていました。

2. 発展期:ChatGPT APIによる「要約」の夜明け

生成AIの登場により、ツールは第2フェーズへ。

ChatGPT APIを統合したことで、通知と同時に内容の要約を自動生成できるようになりました。

ここでようやく、「詳細を読み込むべきか」を数秒で判断できる環境が整いました。

3. 完成期:Gemini 3 Flashによる「知見共有と議論」の場へ

そして現在。

バックエンドを最新の Gemini 3 Flash へ全面的に刷新し、単なる一方通行の通知ツールを超えた「コラボレーション・プラットフォーム」へと進化しました。

 EDGAR Watcherが実現する「3つのステップ」

このツールは、単にデータを流すのではなく、「気づきからチームの行動まで」を最短距離でつなぎます。

  • Acknowledge(認知) 日本企業に関連する新しい開示を検知し、即座にGoogle ChatへPush通知。情報を探す手間をゼロにします。

  • Understand(理解) Gemini 3 Flashが、プロフェッショナルな視点で要約。専門知識や言語の壁を越え、チーム全員が「何が重要か」を瞬時に把握できます。

  • Act(議論と行動) ここが最大の進化です。 要約が共有チャットに流れることで、それを見たメンバー間で即座に議論が始まります。 「この数字は注目に値するのでは?」「次の四半期に影響しそうだ」といった個人の鋭い気づきが、チーム全体の知見として蓄積されます。一人の目にしか触れなければ消えていたかもしれないインサイトが、チームの武器に変わるのです。

「情報に振り回される」時代を終わらせる

膨大な開示資料を前に途方に暮れる時代は終わりました。

初期のシンプルな通知から、AIによる要約を経て、「人間同士がインサイトをぶつけ合う場」へ。

Edgar Watcherは、情報の波に飲まれるのではなく、その波をチームで乗りこなすための「羅針盤」として、これからも進化を続けていきます。