IMF・金融庁・日本銀行共催のフィンテック・カンファレンスに参加して思ったこと

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Author: Kensaku Kimura
投稿日: 2018-04-18
更新日: 2022-11-16

先日、IMF・金融庁・日本銀行共催のフィンテック・カンファレンスに参加してきました

アジアにおけるFinTechに対する取り組み事例(アリペイの担当者などにによるプレゼン)に混じって仮想通貨の話も出ました(Deutsche Bankの担当者によるプレゼン)。

imf boj fintech

仮想通貨の話も個別のコインについてというよりはDLT(Distributed Ledger Technology:分散台帳技術)を中心としたものでしたが、IMFのカンファレンスでクリプトのセグメントがあること自体、いかにクリプトがメインストリームになってきたかの表れだと思います。

 

IOTAも取り上げられていた

個人的に面白かったのはブロックチェーンの次に来る技術としてIOTAが例として紹介されていた点です。

IOTAはその名のとおりIoT時代のクリプトを目指しており、機械同士のお金のやり取りが一つのユースケースとして考えられています。

例えば、町の清掃ロボットがバッテリーを充電するために無人の充電ステーションに立ち寄りエネルギーの供給を受ける代わりに支払いをIOTAでするといったイメージです。

IOTA use case

IOTAはブロックチェインではなくDAG (Directed acyclic graph) という技術を使っています。

DAGの採用によってビットコインなどブロックチェインに基づいたクリプトが抱えるスケーラビリティと手数料の課題を解決しようというのです。

DAGを使ったIOTAは簡単にスケールにすることができ、さらに送金手数料は発生しないとされています。

スケールすることができて、送金手数料が無料というのは夢のような話ですが、実現に向けて課題はたくさんあるようで、まだまだ研究段階にあるクリプトだと言えます。

実際にIOTAを送ろうとしたら2日間ほどかかったという実体験を踏まえてもIOTAまだまだこれからと思いますが、面白い試みであることには変わりありません。

 

DataRobotがすごい!

少しクリプトのほうに話が脱線してしまいましたが、今回のカンファレンスで個人的に興味深かったのがDataRobotのシバタアキラさんによるプレゼンでした。

DataRobotはAIを使った予測モデルを構築してくれるサービスで、そのモデルを金融機関の与信管理に当てはめたケースを実演を踏まえて体験することができました。

今ちょうどデータマイニングを勉強中ということもあり、個人的に非常に興味深かったです。

data mining books

自分で一からモデルを構築することも考えていましたがDataRobotの実演を見てそれはやめることにしました。

データマイニング、データアナリティクスではデータセットに応じて最適なモデルを当てはめていきますが、DataRobotは同時に20種類以上のモデルをデータセットに当てはめて最適解に導いてくれるようです。

 

AIの会計・監査への応用

データマイニング・データアナリティクスは会計・監査への応用も期待されています。

返品、貸倒引当金や在庫の評価などに関しては金融機関における与信管理と同様の考え方に基づいて予測モデルを構築することができます。

監査においては過去や他社事例に基づいたモデルを構築し、異常な取引や勘定残高の検知に役立てるということが可能になります。

実際にBIG4(KPMG, DTT, EY, PwC)はどこも独自のデータアナリティクス手法を開発し、パイロットテストしています。

ここで重要になるのは必ずしもAI・データアナリティクスによって導いた結論が正しいというわけではないということです。

医療の現場ではIBMのWatsonのほうが人間の医師より正確な診断を下す、といったことが話題になりました。

しかし、Watsonによる診断も100%ではないのでWatsonによる診断と人間の医師による診断が食い違うときにより詳細な診察を行う、というアプローチが効率・有効性の観点から現状優れているといわれています。

会計の世界でも同じことがいえると個人的には思っています。

AIと会計士が組んで直面する課題にあたるというのが当面は一番効果があるアプローチだと思っています。

それを表すかのようにチェスの世界では最も強いチェスプレイヤーは機械でもなく、人間でもなく、機械+人間のタッグチームと言われているそうです。

 

 

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