平成31年度税制改正の仮想通貨に対する影響

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Author: Kensaku Kimura
投稿日: 2019-08-14
更新日: 2021-04-03

未実現利益(損失)も課税の対象に

平成31年度税制改正により、法人税については、法人が期末において所有する仮想通貨に関わる未実現利益(損失)についても課税に対象になります。

仮想通貨を所有する法人(取引所やファンドなど)にとってこの改正のインパクトは非常に大きいので影響をまとめたいと思います。

法人が事業年度末に保有する仮想通貨の時価評価

活発な市場が存在する仮想通貨:時価評価する > 評価益または評価損はその事業年度の益金または損金の額に算入する

活発な市場が存在しない仮想通貨:時価評価しない 

原価の計算方法

移動平均法または総平均法

仮想通貨信用取引の処理

未決済の仮想通貨信用取引:未実現利益(損失)をその事業年度の益金または損金の額に参入する

適用時期

平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用

経営に対する影響

仮想通貨のボラティリティは未だに高く、価格変動時における思わぬ税務インパクトを回避するためのタックスプランニングが必要になります。

取引所の場合、顧客から預かっている仮想通貨については貸借対照表上、資産と負債が同額で計上されるため評価損益は相殺される関係にあり、税務インパクトはありません。

取引所自体が保有する仮想通貨については価格変動によるエクスポージャーがあるためタックスプランニングが必要です。

  • 課税所得が予想される場合は、税金支払い分を捻出するための計画的な仮想通貨の売却
  • デリバティブを使ったヘッジ

などが考えられます。

顧客からの手数料(取引手数料、出金手数料など)を仮想通貨が受け取っている場合は、定期的にFiatに変換することを検討する必要があります。

会計に対する影響

今回の税制改正で会計と税務の処理が一致することになったため、繰延税金は発生しないことになります。

過去に仮想通貨を会計上時価評価したことにより発生した一時差異について計上していた繰延税金資産・負債は取り崩すことになります。

まとめ

上記のようにクリプトの時価評価課税は経営にも大きなインパクトがあるため、早急な対応が必要です。

なお、今回の改正で影響を受けるのは法人であり、個人の所得税については未実現損益に対する課税は引き続きありません。

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Kensaku Kimura

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