弊社クライアントがジェトロの「SDGs型スタートアップ支援プログラム-マレーシア」に採択されました
木村公認会計士事務所では”社会にいいインパクト”を与えようとするスタートアップを支援しています。
当社木村がCFOを務める会社で”食品ロスを減らす”という課題に対して”フードシェアリング・プラットフォーム”を活用することで取り組んでいるスタートアップがあります。
この会社がジェトロによるマレーシアにおける「SDGs型スタートアップ支援プログラム(マレーシア)」に採択されました。
2019年の12月にフィールドワーク調査のためにマレーシアに行ってきたのでそこで見て感じたことをまとめようと思います。
その前に今回のジェトロが主催しているプログラムの概要とマレーシアでの提携先であるSUNWAY iLABSを紹介します。
SDGs型スタートアップ支援プログラム(マレーシア)の概要
本プログラムは日本のスタートアップ企業の技術とマレーシアの抱える社会課題を繋ぐことを目的としており、優れた技術・ノウハウを活用して現地での事業化を目指す日本のスタートアップに対して、提携先機関であるSUNWAY iLABSが大手財閥ネットワークを活かし、マレーシアでの事業化に向けた個別支援を行い、マレーシア企業やベンチャーキャピタルなどとのマッチングを実施するものです。
今回のジェトロとSUNWAYとのプログラムは非常に素晴らしいものだと思いました。
日本のスタートアップ側はマレーシア進出のためのサポートを受けることができ、SUNWAYとしては最新の技術や日本で実績のあるプロダクトに関するノウハウを得ることができるという双方にとってプラスとなるプログラムです。
SUNWAY iLABSについて
SUNWAYグループはマレーシアの大財閥の一つでクアラルンプール近郊のSunwayエリアを中心に大学、病院、住居、ショッピングモール、テーマパーク、オフィスビルなどを所有し、メンター、アクセラレーター、ベンチャーキャピタル、大企業とのネットワークを有し、独自のエコシステムを構築しています。
実際にクアラルンプール(KL)から車で30分くらいにあるSUNWAYシティに行ってみるとそこにはSUNWAYが30年以上かけて作り上げて来た街があります。
大学はSUNWAY UniversityとMonash Universityの2つがあり、多くの学生はSUNWAYシティ内の学生寮に住んでいます。
大きな病院もSUNWAYシティにはあり、日本人専用の窓口もありました。
ショッピングモールは巨大で空きテナントはなく、稼働率はマレーシアでもトップクラスとのことです。
SUNWAYシティの中心には巨大ラグーンがあり週末にはたくさんの家族連れが押し寄せていました。
大型リゾートホテルも2つあり、ビジネス、レジャーなど多目的に使われているようです。
昨年はそこでガンズ・アンド・ローゼズがコンサートをしています。
SUNWAYシティにはオフィスビルもあり有名な国際企業が多数入居しています。
住人のために街の魅力を向上させていくには街自体をサステイナブルなイノベーションが必要とSUNWAYは考えています。
イノベーションを推進させるためのチームの一つがベンチャーを育成するiLABSであり、SUNWAYグループやSUNWAYシティの2つの大学から生まれたスタートアップだけでなく、国内外のベンチャー会社の発掘に取り組んでいます。
常にイノベーションを続けているこの街は本当の意味でスマートシティだと思いました。
マレーシアの概要
ファイナンス関連の話題といえばマレーシア・ファンド、1MDBの資金横領事件については ”Billion Dollar Whale: The Man Who Fooled Wall Street, Hollywood, and the World” を読んでいたので知っていました。
しかし、マレーシアに行くのは20年位前に大学生のときに行ったとき以来だったのでマレーシアに関する事前情報はあまりありませんでした。
現地でヒアリングした内容を含めたマレーシアの概況です:
面積 | 日本の約90% |
人口 | 日本の約25% |
主要民族構成 | マレー70%、華人23%、インド7% |
言語 | マレー語、英語(KL、SUNWAYシティで出会った人は皆英語が喋れた) |
通貨 | リンギット (MYR) ざっくり1MYRが30円 |
政策金利 | 3% |
法人税 | 基本は24%だけど色々と優遇処置がある模様 |
消費税 | 物によって違うがレストランなどで食べると16% |
会計監査 | 基本的にすべての会社が会計監査を受けなければならないとのこと |
現地の30-40代へのヒアリング内容
好きな音楽:アメリカン・ロック(ガンズ・アンド・ローゼズなど)。音楽ではないが、日本のドラマに詳しい。木村拓哉は人気。
投資:株が多い。クリプトに対しては不信感を持っている様子。
日本製品に対するイメージ:高品質、安心安全
現地の大学生へのヒアリング内容
流行っている音楽:洋楽派とK-POP派に分かれる。日本の音楽はアニメくらいでしか聞かない。移動中の車で流れていた現地のFM番組のMCはアメリカのラジオそのままの雰囲気だった。
流行ってるモノ:バブルティー(タピオカティー)
好きな食べ物:ジャンクフードが好きな友達が多いとのこと
投資に対して:そこまで盛んではない。FXをやっている人はいる。お金に余裕がある一部の大学生はクリプトを買っていたりする。
進学事情:主流派であるマレー人は色々な特権が与えられていて国立大学にはマレー人枠があるとのこと。なので優秀だとしても国立大学への進学は難しい場合があり、私立大学に進む学生も多いらしい。就職の際もマレー人枠があるらしく、公務員の仕事はマレー人率が高いとのこと。
一週間滞在して気づいたこと
食べ物:マレーシアはグルメ大国。とにかく料理店が多い。家で料理をあまりせず外食することが多いのも背景らしい。ナシ・レマックに代表される家庭料理がすごく美味しい。中華料理もマレーシア風にアレンジされているものがあり、板麺(パンミー)なんかはその代表。これもすごく美味しい。今回は行きませんでしたが日本食のクオリティも高く、希少部位の焼き肉や本格お寿司も充実しているよう。普段はブラックコーヒーしか飲まないので甘いコーヒーも個人的にはよかった。食に関して個人的に面白かった発見はファミリーマートのおでんが爆発的に大人気とのこと。
移動手段:マレーシア人がみんな使っていたのがGrabというアプリで。要はUber。迎えに来てくれるし、クレジットカードで支払いができるし、行き先も確実に伝わるし、土地勘のない場所では本当に便利。Peer-to-Peerの良さを再確認。
ビジネスの場としてのマレーシア
一週間しか滞在していない中での印象ですがアジアの中では日本人がビジネスをしやすい場所なのではないかと感じました。
理由はマレーシアは”ちょうどいい”が多いんです。
マレーシアは経済成長のポテンシャルの面で早すぎず、遅すぎず、ちょうどいい。
治安の面でも軍による支配や極悪犯罪も比較的少なくちょうどいい。
気温は高く、降水量も多いが台風や地震がなくちょうどいい。
英語が通じる人が多く、ビジネスのルールも整備されているのでちょうどいい。
多民族国家なのでプロダクトのテストなどにちょうどいい。
地理的に中東や他の東南アジアの国へのゲートウェイとしてちょうどいい。
法人税24%、ちょうどいい。