クリプト規制に新たな展開:一部は金商法で
2019年2月28日に開催された、日本国際金融システムフォーラム2019に出席しました。
登壇者の所属企業やイベントのスポンサー企業のラインアップを見ても、クリプト(暗号通貨・仮想通貨)、ブロックチェーン、DLT(Distributed Ledger Technology:分散型台帳技術)が色濃く打ち出されたイベントでした。
金融取引へのブロックチェーン・DLT(分散型台帳管理技術)活用と題されたパネルディスカッションでは株トレーディングのセトルメント(決済)にDLTを使う話が展開されました。
現在、取引所で株の売買を行うと約定日の3営業日後に実際の受け渡しが行われています(T+3)。
DLTを使うことで夢のT+0が達成できるかもしれないという話があり、DLTやブロックチェーンのマス・アドプションはすぐそこまで来ていると実感しました。
日本のクリプト(仮想通貨・暗号通貨)規制の新たな展開
クリプトに関して言えば、国会に提出される見込みの法案についての話に注目しました。
私が注目したのは次のポイントです:
- 相場操縦であるとか風説の流布などは規制する
- インサイダー取引は、何が重要事実であるかが分かりにくいため見送り
- カストディや業者についてもハッキングリスクがあることは同じなので、仮想通貨交換業登録が必要になる
- デリバティブ取引(FX・マージン)は金商法で規制
- ICOに関しては「証券性のあるもの」と「証券性のないもの」と2つに分ける
- 「証券性のあるもの」に関しては金商法で規制し、証券の一類型として扱っていく
- 「証券性のないもの」これまで通り仮想通貨としての扱いで規制していく
デリバティブ取引が金融商品取引法で規制されるようになると、ルールの明確化に伴いクリプトをUnderlyingとしたオプションやスワップと言った金融商品が登場するようになると思われます。
また、ICOを証券性のあるものとないものに分ける考え方は米国のHowey Testの考え方と似ています。
これもまた、ルールが明確化されることにより、クリプトを使った公募にチャレンジする企業やプロジェクトが増えてくるかもしれません。
エクスチェンジ(取引所)は提供するサービスによって複数の法律に準拠する必要が出てくるため、ますますリーガル・コンプライアンスが重要になると思われます。
もともと資金決済法はスタートアップでも仮想通貨交換業者登録ができるようにという趣旨で制度設計されています。
施行されから2年も経たないうちに資金力がないと参入できない業界になってしまったという印象を強くもった一日となりました。