仮想通貨の税金計算に関する今までの疑問が一部明らかに
2017年12月1日に国税庁は「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」を公表しました。
このようなまとまったFAQ形式で仮想通貨の税金計算について国税庁が公式に見解を示すことはおそらく初めてだと思います。
このFAQが(情報)となっているのはこの文書が法律や法令ではなく、あくまでも国税庁の見解だからです。
法律ではないものの国税局はこの文書の内容をもとに税金計算の妥当性を検証するわけです。
実務ではこのFAQに基づいて様々な会計、税務処理がなされるはずです。
この記事ではFAQの内容を一つ一つ見ていくとともに、気になる点があればコメントを入れていきます。
コメントは青文字で付し、それ以外はFAQの原文となります。
なお、オフィシャルの文書は下記のリンクで入手できます:
仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)(平成29年12月1日)(PDF/238KB)
仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)
ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となります。
この情報(FAQ)は、確定申告の対象となる仮想通貨の損益やその具体的な計算方法等について、取りまとめたものです。
(注1)この情報は、平成 29 年 12 月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。この情報で使用している事例(取引金額や取引相場を含む)は、架空のものですが、
事例に応じた適正な価額による一般的な取引を前提に記載しています。
(注2)例えば、年末調整済みの給与所得を有する方で、仮想通貨の売却又は使用による所得が 20 万円以下の方については、その他に所得がない場合、確定申告は不要です。
確定申告が必要となる場合については、http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm
をご覧ください。
コメント:
仮想通貨から生じた利益は原則として「雑所得」に分類されるとしています。
なぜ原則が雑所得なのか理由は述べられていません。
仮想通貨は明らかに資産性があり、それを他の資産に交換する行為は仮想通貨の譲渡に当たります。
そのため、普通に考えれば譲渡所得が原則のように思います。
そのような議論もすでに法律や税法の専門家の間ではされています。
雑所得は他の所得と損益通算ができないなど、譲渡所得に比べてデメリットがあります。
一方で「事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き」雑所得とされているので、事業として仮想通貨から利益を得ているのであれば、それは事業所得など、他の所得分類も考えられます。
事業かどうかは判断が伴う論点となり、明確な数値基準や要件はなく、ケースバイケースで判断するしかありません。
収入のほとんどをビットコインのトレードで得ている、など、客観的な事実があり、それを立証できる場合は事業所得として申告しやすいパターンになります。
なお、この文書が(情報)となっているのは、この文書があくまでも国税庁の見解であり、法律ではない点は冒頭で述べたとおりです。
1 仮想通貨の売却
問
保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した際の所得の計算方法を教えてください。
(例)
3月9日 2,000,000 円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。
5月20日0.2 ビットコイン(支払手数料を含む。)を 110,000 円で売却した。
答
保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
上記(例)の場合の所得金額は、次の計算式のとおり、10,000 円です。
110,000円 [売却価額] – (2,000,000円 ÷ 4BTC) [1ビットコイン当たりの取得価額] × 0.2 BTC [支払ビットコイン] = 10,000円 [所得金額]
コメント:
仮想通貨をFiat(法定通貨)に換金した際の益の計算方法に関しては特にコメントはありません。
支払手数料を取得原価に含めている点は注目です。
2 仮想通貨での商品の購入
問
商品を購入する際に、保有する仮想通貨で決済した場合の所得の計算の方法を教えてください。
(例)
3月9日 2,000,000 円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。
9月28日 155,000円の商品購入に0.3ビットコイン(支払手数料を含む。)を支払った。
答
保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
上記(例)の場合の所得金額は、次の計算式のとおり、5,000円です。
155,000円 [商品価額] – (2,000,000円 ÷ 4BTC) [1ビットコイン当たりの取得価額] × 0.3 BTC [支払ビットコイン] = 5,000円 [所得金額]
※ 上記の商品価額とは、日本円で支払う場合の支払額の総額(消費税込み) をいいます。
コメント:
益の計算方法に関しては特にコメントはありません。
しかし、ビットコインを日常的に使う場合、いちいち支払い時に損益計算をするのは現実的ではありません。
外貨であっても同じ取扱になりますが、海外旅行で使った外貨の為替差益を都度計算して申告している人は少ないでしょう。
一定金額以下であれば所得計算から除外できるようなde minimisルールが必要と考えます。
3 仮想通貨と仮想通貨の交換
問
保有する仮想通貨を使用して他の仮想通貨を購入する場合(仮想通貨と仮想通貨の交換を行った場合)の所得の計算方法を教えてください。
(例)
3月9日 2,000,000円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。
11月2日 他の仮想通貨購入(決済時点における他の仮想通貨の時価 600,000円)の決済に1 ビットコイン(支払手数料を含む。)を使用した。
答
保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が、所得金額となります。
上記(例)の場合の所得金額は、次の計算式のとおり、100,000円です。
600,000円 [他の仮想通貨の時価(購入価額)] – (2,000,000円 ÷ 4BTC) [1ビットコイン当たりの取得価額] × 1BTC [支払ビットコイン] = 100,000円 [所得金額]
※上記の購入価額とは、他の仮想通貨を購入する際に支払う仮想通貨の総額を日本円に換算した金額をいいます。
コメント:
Crypto-to-cryptoの交換に関する益に計算方法については特にコメントはありません。
世界でもCrypto-to-cryptoの交換はTaxable eventとして捉えている国がほとんどだと思います。
しかし、次の2点からもう少し工夫があればよかったと思ってしまいます。
まず、Crypto-to-cryptoの交換の都度、損益計算を求めるのは多くの場合に非現実的もしくは困難である点です。
上場株式やFXの場合だと取引が一つの業者で完結します。
売買損益の計算は簡単でほとんどの場合、業者の管理画面で簡単に確認できます。
複数の口座を使用している場合も基本的にはそれぞれの業者の損益を合計することで全体の損益を確定することができます。
しかし仮想通貨の場合は取引所間で仮想通貨の送信を自由にできます。
ある取引所で購入した仮想通貨を他の取引所に送信した場合、送信先の取引所はその仮想通貨の取得原価を知りません。
取得原価の情報がないため、損益計算が当然できません。
したがって、複数の取引所を使っている場合は単純に取引所ごとの損益データを合算しても全体の損益を確定することはできません。
取引が少ない場合や使用している取引所が少ない場合はスプレッドシートを使って頑張って損益を計算できます。
取引数や使用する取引所が多くなると損益計算はすぐに非現実的あるいは困難になります。
2点目の理由はもう少し概念的です。
ある資産からある資産に交換する場合、一度円を経由すると考えます。
そこで交換する資産の間に価格差があると損益が発生します。
上場株の取引で考えると分かりやすいです。
保有しているApple株を売却し、Google株を購入したとします。
Apple株からGoogle株には直接交換できず、一度Apple株を売却してお金を受け取り(ここで損益を認識)、そのお金でGoogle株を買ったと考えます。
しかし、仮想通貨の場合は直接 BTCとETHを交換できます。
一旦損益を確定させるという意志は多くの場合ユーザーにはありません。
これは基本的な場合ですが、仮想通貨は金融商品や法定通貨と違い、保有者に何かしらの権利を与えるものではありません。
言ってしまえば仮想通貨を保有するということはPrivate Keyというランダムな文字列を保有することです。
仮想通貨と仮想通貨を交換するということはある文字列とある文字列を交換しているにすぎません。
ミカンを持ってる人とリンゴを持ってる人が持ってる果物を交換するイメージに近いです。
その場合も税法を厳密に適用すれば課税対象のなるのかもしれませんが、起こっている事象を技術的に考えると個人的にはすっきりしない部分が残ります。
実務的な側面、概念的な側面、そして税金の補足、納税者への負担の観点からも、Fiatに交換した時に課税対象とするのが適当ではないかと思います。
4 仮想通貨の取得価額
問
仮想通貨を追加で購入しましたが、取得価額はどのように計算すればよいですか。
(1年間の仮想通貨の取引例)
3月9日 2,000,000円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。
5月20日 0.2 ビットコイン(支払手数料を含む。)を110,000円で売却した。
9月28日 155,000円の商品購入に0.3ビットコイン(支払手数料を含む。)を支払った。
11月2日 他の仮想通貨購入(決済時点における他の仮想通貨の時価600,000円)の決済に1 ビットコイン(支払手数料を含む。)を支払った。
11月30日 1,600,000 円(支払手数料を含む。)で2ビットコインを購入した。
答
同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です(ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えありません。)。
① 移動平均法を用いた場合の1ビットコイン当たりの取得価額
上記(例)の場合の1ビットコイン当たりの取得価額は、次の計算式のとおり3月9日時点で 500,000 円、11月30日時点で633,334円です。
○ 3月9日に取得した分の1ビットコイン当たりの取得価額
2,000,000円 ÷ 4BTC = 500,000円/BTC
~3月10日から11月30日までの間に1.5BTCを売却又は使用~
○ 11月30日の購入直前において保有しているビットコインの簿価
500,000円 [この時点での1ビットコイン当たりの取得価額] x (4BTC – 1.5BTC) [この時点で保有しているビットコイン] = 1,250,000円
~11月30日に2BTCを購入~
○ 11月30日の購入直後における1ビットコイン当たりの取得価額
(1,250,000円+1,600,000円) [この時点での保有しているビットコインの簿価の総額] ÷ (2.5BTC + 2BTC) [この時点で保有しているビットコイン] = 633,334円
※ 取得価額の計算上発生する1円未満の端数は、切り上げして差し支えありません。
② 総平均法を用いた場合の1ビットコイン当たりの取得価額
上記(例)の場合の1ビットコイン当たりの取得価額は、次の計算式のとおり600,000円です。
(2,000,000 円 + 1,600,000円) [1年間に取得したビットコインの取得価額の総額] ÷ (4BTC + 2BTC) [1年間に取得したビットコイン] = 600,000円/BTC
コメント:
取得原価の計算方法自体については特にコメントはありません。
FAQでは移動平均法と総平均法(継続適用が条件)が認められており、移動平均法が「相当」とされています。
しかし、原価の計算方法には移動平均法と総平均法以外にも相当とされるものはあります。
先入先出法、個別法などがそれです。
アメリカでは仮想通貨の取得原価の計算方法としては先入先出法がベースです。
取引記録の整備や取引の対象となった仮想通貨自体を特定できることを条件に個別法も認められています。
ビットコインなどUTXO (Unspent Transaction Output) をベースにした仮想通貨は取引の対象となった仮想通貨を個別に特定することができます。(Ethereumはアカウントベースであり、UTXOはなく、取引の対象となったETHを個別に特定することはできません)
取引の対象となった資産を個別に特定できる以上、個別法が最も正確に原価を表し、原価計算方法として最も相当する、と言えるはずです。
ビットコインは今までになかった全く新しい性質を持った資産です。
既存の資産に対する枠組みをそのまま当てはめるのではなく、今までの資産になかった性質を踏まえて取引の実態を表す処理を議論するのがいいと思います。
それ以外で気になった点としては「取得価額の計算上発生する1円未満の端数は、切り上げして差し支えありません。」とされている点です。
原価が上がるとその分利益は少なく計算されるので端数は切り上げた方が有利という結論になります。
移動平均か総平均のどちらが有利かはケースバイケースです。
結果が明確な場合を除き、端数切上げのことを考えると移動平均をそのまま採用するのが良さそうです。
5 仮想通貨の分裂(分岐)
問
仮想通貨の分裂(分岐)に伴い、新たに誕生した仮想通貨を取得しましたが、この取得により、確定申告の対象となる所得は生じますか。
答
所得税法上、経済的価値のあるものを取得した場合には、その取得時点における時価を基にして所得金額を計算します。
しかしながら、ご質問の仮想通貨の分裂(分岐)に伴い取得した新たな仮想通貨については、分裂(分岐)時点において取引相場が存しておらず、同時点においては価値を有していなかったと考えられます。
したがって、その取得時点では所得が生じず、その新たな仮想通貨を売却又は使用した時点において所得が生じることとなります。
なお、その場合の取得価額は0円となります。
コメント:
FAQでは、分岐時点では相場が存在しておらず、価値を有していない点をもって、取得価額は0円とされ、結果的に取得時点では所得が生じていないとしています。
しかし、その前提として資産を取得した場合は、その取得時点における時価を基に所得金額を計算するとしています。
この前提を仮想通貨にそのまま当てはめてしまうのは危険です。
ブロックチェーンの分岐はその仕組み上、それなりの頻度で起きます。
ブロックが短時間で連続して採掘された場合などです。
上記の例では、最終的にネットワークのノードの多数が正当と認めたチェーンが存続し、分岐したチェーンは破棄されます。
したがって基本的には新しいコインが発生し、価値を持つというケースには発展しません。
しかし、ブロックチェーンの多くはオープンソースで誰でも自由に分岐できます。
納税者の知らないところで分岐が発生し、知らずに価値を持つ仮想通貨を取得するケースなどが考えられます。
また、新しい仮想通貨の発生時点でその仮想通貨自体の取引相場が存在していなかったとしても、その仮想通貨のデリバティブ市場で価格が形成されているケースも考えられます。
これらの問題点もFAQ3に対するコメントで指摘したとおり、Fiatへ交換したタイミングで課税対象とすることで所得計算の簡素化、納税者の保護につながると考えます。
6 仮想通貨に関する所得の所得区分
問
タックスアンサーによると、ビットコインを使用することにより生じる損益(日本円又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、原則として、雑所得に区分されるとされていますが、雑所得以外に区分される場合には、どのような場合がありますか。
答
ビットコインをはじめとする仮想通貨を使用することによる損益は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されることとしていますが、例えば、事業所得者が、事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段として使用している場合、その使用により生じた損益については、事業に付随して生じた所得と考えられますので、その所得区分は事業所得となります。
このほか、例えば、その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にも、その所得区分は事業所得となります。
※ 仮想通貨を使用することにより利益が生じた場合の課税関係(所得区分)については、タックスアンサーにも記載しております。
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1524.htm
コメント:
冒頭で触れた内容がこの質問に対する回答で書かれてましたね。
「事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き」雑所得とされているので、客観的に立証できるのであれば、他の所得(事業所得や雑所得)として申告できるところがポイントだと思います。
一方で「原則」というワードは実務上はハードルになるはずです。
7 損失の取扱い
問
仮想通貨の取引により、雑所得の金額に損失が生じました。この損失は、給与所得等の他の所得と通算することができますか。
答
雑所得の金額の計算上生じた損失については、雑所得以外の他の所得と通算することはできません。
所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得とされています。雑所得については、これらの所得に該当しませんので、その所得の金額の計算上生じた損失がある場合であっても、他の所得と通算することはできません。
コメント:
冒頭とFAQ 6に対するコメントと同じです。
雑所得では損益通算できませんが、事業所得や譲渡所得に該当すれば損益通算できる場合があります。
8 仮想通貨の証拠金取引
問
仮想通貨の証拠金取引については、外国為替証拠金取引(いわゆるFX)と同様に申告分離課税制度の対象となりますか。
答
仮想通貨の証拠金取引による所得については、申告分離課税の適用はありませんので、総合課税により申告していただくことになります。
ご質問の外国為替証拠金取引(いわゆるFX)は、金融商品取引法に規定する取引であり、租税特別措置法の「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」の規定により、申告分離課税の対象とされています。
租税特別措置法上、先物取引にかかる雑所得等の課税の特例(申告分離課税)の対象は、金融商品取引法等に基づき行われる①商品先物取引等、②金融商品先物取引等、③カバードワラントの取得等とされており、仮想通貨の証拠金取引は、これらのいずれの取引にも該当しませんので、申告分離課税の適用はなく、その取引により得た所得については、総合課税により申告していただくことになります。
コメント:
特にありませんが、個人的に税の特例には反対の立場です。
税率は低いに越したことはありませんが、一部の人だけを優遇する税の特例は公平とは言えません。
9 仮想通貨のマイニング等
問
仮想通貨をマイニングにより取得した際の所得の計算方法を教えてください。
答
いわゆる「マイニング」(採掘)などにより仮想通貨を取得した場合、その所得は、事業所得又は雑所得の対象となります。
この場合の所得金額は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から、必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いて計算します。
なお、マイニング等により取得した仮想通貨を売却又は使用した場合の所得計算における取得価額は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価となります。
コメント:
一見妥当に見える結論ですが、少し考えると違和感があります。
マイニングというサービスを提供した対価としてビットコイン(仮想通貨)を受け取っている、そのように解釈すると受け取ったビットコインは所得になります。
しかし、マイニング自体はサービスではありませんし、サービスの提供先となり得る人や会社のような組織も存在しません。
ビットコインのマイニングとはコンピューターを使ってランダムな数字を生成し続けることを言います。
これがなぜマイニング(採掘)と言われるかというと、ゴールドのマイニングとの類似性があり、アナロジーとして分かりやすいからです。
ゴールドの採掘会社も石油の採掘会社もゴールドや石油の採掘自体を事業としているわけではありません。
採掘してそれを売却することを事業としているわけです。
課税所得も採掘時ではなく、売却時に認識します。
ビットコインのマイニングをコモディティのマイニングと同様に考えるのであれば、同じように採掘時ではなく、売却時に課税所得とするのが妥当と考えました。
まとめ
ビットコインは今までになかった全く新しい性質を持った資産です。
そんなビットコインを分かりやすくするために既存の物がアナロジーとして使われます。
アナロジーは物事を分かりやすくするという効果はあるものの、必ずしも実態を正確に表しているとは限りません。
ビットコインは「コイン」と名称にありますが、実際にコインが存在するわけではなく、発行者も管理者もいません。
ビットコインを「送金」「交換」すると言いますが、何かが物理的に移動することはありません。
ビットコインを「ウォレット」に送ると言いますが、ウォレット自体にビットコインが存在するわけではありません。
アナロジーをそのまま会計や税金計算に当てはめてしまうと実態を表さない結果になるリスクがあります。
今回のFAQで言えば、特に以下の項目は実態を表すように再考すべきと考えます:
- 3 仮想通貨と仮想通貨の交換 => 法定通貨への交換時に課税対象とする
- 5 仮想通貨の分裂(分岐)=> 法定通貨への交換時に課税対象とする
- 6 仮想通貨に関する所得の所得区分 =>原則雑所得ではなく原則譲渡所得
- 9 仮想通貨のマイニング等 => 法定通貨への交換時に課税対象とする
法定通貨への交換時に課税対象とすることは実態をより正確に表すとともに以下の効果があります:
- 課税所得計算の簡素化(納税者・当局、両方にとってメリット)
- 税金の捕捉率・捕捉効率の向上(当局にとってメリット)
- 新技術の研究・応用・改善の活発化(国全体にとってメリット)